宮崎県日南市の油津へ行ってきました。
お目当ては、油津の岩崎商店街。
もともとシャッター街だった通りにIT企業のサテライトオフィスなどを誘致して雇用と人通りを生み出したことで「奇跡の商店街」と呼ばれているところです。
宮崎市内や宮崎空港からは1時間半~2時間程度。決して交通が便利とはいえない場所にあります。
商店街の"顔"となったお店たち
この商店街が面白いと言われる理由はいくつかあると思われますが、まず一つ目は、商店街の雰囲気を変えたオシャレなお店たちの存在。
この街のリノベーションの先駆けとなったABURATSU COFFEE。単線のディーゼルカーに1時間半揺られてきた街でパンケーキを食べるとは思わなかった。
ゲストハウスfan!
開業当初は学生主体での運営からスタートし、今はベンチャー企業が運営を引き継ぐというこれまであまり見ない形態のゲストハウス。東京のゲストハウスnuiを彷彿とさせるオシャレな内装に目が行くものの、地元の人も出入りするバータイムが旅人の楽しみにもなります。
商店街内にはあぶらつ食堂という新しい飲食店街もあり、夜暗くなりがちな商店街にアクセントを与えています。
実際に足を踏み入れて分かったこと
ここ数年「地方創生」が声高に叫ばれる中で、この油津の街は成功事例として取り上げられ、県外からの視察も多いとのこと。
オシャレなお店、イベントで賑わうアーケード、カープの街としての様々な取り組み‥
メディアを通じて発信される油津の商店街は、いつも多くの人で溢れています。
しかし今回の滞在を通じて僕が気づいたのは、
そんなに賑わっていない
ということでした。
しかしこれは油津の取り組みを否定するものではありません。ましては失敗などと言いたいわけでもありません。
むしろ問題なのは、"成功事例"としての取り上げ方が少しズレているために、これから成功に持ち込もうとしている人たちに誤った印象を与えているのではないか?ということです。
普段は閑古鳥でも、どこかに未来がありそう
キラキラした記事ばかり見ていると意外に思えるかもしれませんが、この写真を撮ったのは日曜日の午後です。人通りはまばら。きっと、他の地方の商店街とさほど変わらないのではないでしょうか?
それでもなお、この街に希望が持てると感じたのは、"日常"がそこにあったから。
近所ならたこ焼きを焼いて持ってきてくれるおやっさん、ボートレースの場外売り場に集う町民たち、サテライトオフィスに出社してくるベンチャー企業の社員‥
土曜日から月曜日までの滞在でしたが、月曜日の朝が一番活気があったかもしれません。
イベントにたくさんの人が集まり、オシャレな外装のお店が立ち並ぶ。
もしもそのような外面的な部分だけを評価して成功事例というのであれば、そこだけを切り取ってコピーしようとするならば、それは違うでしょう。
イベントも、デザインの流行りも、一過性のものです。もっとコアな部分の"ヒント"が、まだこの街には眠っている気がします。
(訪問日 2018年12月8日-10日)